【美容師さんへ】

 
～お客様に寄り添う”ことの本質を理解することが大切～
 
日本には18,000種類を超える職種があります。どのような職種においても、求められる精度やスキルは異なります。同じ職種においても、求められる、そして提供できる精度やスキルは様々です。
 
そして、価格とリピートによって、その精度とスキルを消費者が評価します。
 
多くの情報が溢れている世の中で、私たち美容師が“センス”や“感じ方”そして“技術”で頼っていただける存在であることが、私達自身の価値、そしてお客様自身の満足に繋がります。
 
美容師にとって、技術の前提に必要となることは〝カウンセリング/コミュニケーション力”です。
 
サロンでは、来店されたお客様の思い描く“なりたいイメージ”をヒアリングします。
まずは、その“イメージ”がどういうイメージなのかを理解、つまり共有する能力を磨くことが技術の前提としての能力になります。
そして、共有した“イメージ”に美容師としての付加価値を提案し、その価値のイメージを共有するコミュニケーション力、それらの結果として、共有したイメージを“技術”によって実現できるかどうかが私のセミナーの前提能力となります。
 
更に、接客やカウンセリング、そして薬剤選定や技術において「間違っては、いない」という価値の提供ではなく、「間違いない」という価値の提供を目指すことが、私達美容師の“極み”になります。
全てのお客様にオートクチュールを提供するからこそ、私たちの可能性は限りなく大きいと考えます。
 
～ 美容師の学びにとって大切なこと ～
<ダニングクルーガー効果（Dunning Kruger effect）>
『能力や専門性や経験の低い人は自分の能力を過大評価する傾向がある、という認知バイアスについての仮説である。また、能力の高い者が自分の能力を過小評価する傾向がある、という逆の効果を定義に含めることもある。』Wikipedia
 
ダニングクルーガー効果により、美容師資格を取得して間もないアシスタントは、自分の能力を過大評価し、反対に経験値の高いスタイリストは自分の能力を過小評価する傾向があります。
サロンで、自分を過大評価しているアシスタントに対しての教育がうまくいかなくて、結果的にベテランスタイリストが自信を無くしてしまうというケースがあります。
そもそも専門学校や美容師としても“部下育成”という教育理論を学んでいないため、自分を客観視するということ自体がありません。
スタイリストがアシスタントを教育する手法においても、しっかりとステージを踏まえないと効果は発揮できないということです。
 
また、忘却理論という理論があります。教育するものにおいて、例えばレッスン効果を発揮するためには、レッスン後の復習までの時間が重要となることを理解して教育することでお互いの理解が深まり、お互いに成長を実感できると考えています。
学生時代は「予習して、授業を受けて、復習して、試験の受ける」という4つの段階を常に繰り返していたことが、美容師資格を取得した後、どれだけの予習や復習が行われているのか。このような現状を理解し、把握したうえで“教育する”“教育される”ということが必要だと考えています。
 
レッスン、講習そしてセミナーは押し売りではありません。学びを受ける方が「レッスンがしたい」、レッスンする方が「教えたい」と双方が同じ思いでレッスンすることが大切です。やりたくないレッスン、やらされているレッスン、仕方なく教えているレッスンでは互いに大切な時間を無駄遣いしていることになります。
想いがあって美容師になられた方に少しでも効果的に学んでいただければと考えています。
 
また、大人だから出来る、子供だから出来ないという考え方ではなく、大人でも不得意はあります。子供でも大人よりも上手くできるものがあります。それと同様に、スタイリストだから、アシスタントだから、ベテランだから、若いから“できる”“できない”という考え方ではなく、“あなただから”という得意分野を伸ばしていくことが正しいスキルに繋がると考えています。例えば、それがカット技術なのか、カラー技術なのか、それともカウンセリングなのか、年齢や性別や経験に捉われない“自分”の得意を見つける、伸ばす、活かすことが何よりも大切だと考えています。
自分の目の前にいる１人ひとりが、いまどんな表情をしているのか。言葉だけではないメッセージを、しっかりと受け止めながら時間を共有できる存在でありたいと考えています。
 
～ 私が、なぜパリ式ドライカットを選んだのか ～
それは、カットを求められるお客様の母数が最も大きいからです。
美容師の提供する技術として、カット・カラー・パーマ・ヘッドスパ・メイク・トリートメント等の中において、最も求めるお客様が多い技術が“カット”です。
だからこそ、より多くの方の喜びを演出するためには“カット”との考えでカット技術への高みへとチャレンジしました。言い換えるならば、どの技術よりも需要が多い技術だと考えたからです。
強い想いでカットを学び、学んでは学び直しを繰り返し、ある程度の自信を持てるようになった時、フランス旅行で訪問した美容室の技術力に衝撃を受けました。それがきっかけになり、パリ式ドライカットの習得を目指してパリのお店に見習いとして入店しました。
それが私とパリ式ドライカットの出会いです。
 
～ なぜ、講師活動を行っているのか ～
私には手が2本しかありません。どんなに励んでも、1日でカットできる人数は十数名程度です。その手を増やすことができるなら、もっとお客様の喜びを増やすことができると考えています。
そして“技術”を伝えていく。伝承や継承することが大切だと考えています。
パリ式ドライカットを普及させることで、いつか日本式ドライカットと呼ばれるようにできればと考えています。
受け継いだ技術を伝え、より優れた技術への革新させていって欲しいと考えています。